住宅商品を開発するコツ(素材や工法選びが大切ではない理由)
2019年09月13日
私どもの会社では、これまで10棟の住宅商品をオリジナルで開発していました。
輸入建材を使った洋風住宅からはじまり、ローコスト住宅、地産地消住宅など、
色んな商品を開発しました。
18年間の住宅事業をしてきた中で、この10棟の住宅商品を定期的に作ってきたわけでは、
ありません。
10棟の内8棟が事業を開始して作った住宅商品です。
住宅商品を開発する手順は、
① 住宅商品のコンセプトを決め
② 標準仕様と標準図面を作成
③ それに合わせた見積を業者から取り
④ 値段交渉をして協定単価を決定
⑤ 商品の価格を決定
⑥ パースでカタログを作るか、モデルハウスを造る
⑦ スタッフに通達し、勉強会を開催
⓼ 集客、営業ツールを作成
⑨ 売り出し
こんな感じで、
ほぼ毎年住宅商品を発表していたような感じです。
なぜ、そんなに住宅商品ばかり開発していたのか、わかりますか?
「住宅商品がよければ売れる!!」
本当にこの言葉を信じていました。
10年もやっていたら「途中で気づけや!!」と怒られそうですが、
あの頃の私は、気づくことができませんでした。
その後考え方を改めて、今のウッドラボホームの提供するIBUKIの家の元となる
住宅商品を開発しました。そして、この住宅商品を変更せずに8年間売り続けました。
(途中血迷って、このIBUKIの家を規格化した住宅商品を開発しましたが、
全く浸透せず、すぐにこの一つの商品だけで事業をしていました。)
それまでの住宅商品と比べて、家の品質が無茶苦茶よかったのか。というと・・・、
それ程、違いはありません。性能や見た目、仕様や工法ではそんなに差はありません。
じゃ、何が違ったのか?
一番の違いは、・・・・・・住宅商品をお客様に売り込まない事です。
はっ!!??なんやそれ!!
と思われるかもしれませんが、事実です。
もちろんまったく売り込まないという事ではありません。
それなりに商品をチラシやHPにさらっと載せたり、モデルハウスも建てていました。
でも、
お客様がわが社に興味を持つまでは、スタッフは決して商品のよさを売り込みませんでした。
モデルハウスに来ても、必ず言う事は、
「わが社には、おすすめの素材や工法はありますが、標準仕様はありません。
お客様が望む100%オリジナルの家を設計士と一緒に作ります。
たとえば、もしネットでお客様がこんな家がいい。と言われたら、設計士が検討し、
プロとして的確に判断した上で採用することも可能です。」
モデルハウスには、いろんな形の家のプレゼンシートを予め何パターンも展示しておいて、
どんな家でも建てることができることをお客様に理解してもらいます。
信頼関係ができていない内にわが社の住宅商品の良さを言っても、それ程お客様の心に
響きません。(もちろん、営業のプロなら別ですが、私のような素人では無理でした。)
それよりも、わが社の住宅商品をごり押しする営業ではなく、あなたの家づくりを
お手伝いするプロのサポーターとしての立場を取っていきます。
お客様と信頼関係ができてくると、自然にわが社の商品にも興味が出てきます。
その時に、しっかりと説明をします。(その時は、いい所だけではなく、悪いことことも含めて)
聞く耳を持っているお客様とそうでないお客様とでは、説得力が全く違います。
誤解を恐れずに言うと、
中小工務店がお客様にアピールする住宅商品は、それほど重要ではありません。
わが社はたまたま今の仕様や工法で8年間売り続けましたが、これがデザイン住宅でも
全然問題なかったと思います。
広告費に莫大な予算が持てる大手ハウスメーカーなら、車のように住宅商品をブランド化
できます(お日様ハイムのように)。
でも中小の工務店がわが社の住宅商品をブランド化させることは、予算的に難しいです。
住宅商品の良さをお客様に認知してもらおうと死ぬほど努力しても、
大手ハウスメーカーに負けてしまいます。
「あなたの会社はどんな家を造っているの?」とお客様にわかってもらうためにも、
中小工務店でも住宅商品を持つことは、絶対に必要です。
ただ、中小工務店は、自社の商品の良さを伝える事に躍起になるのではなく、
もっと大切な事。お客様と信頼関係を築く。そのための仕組みを作っていくこそ、
中小工務店が一番最優先にするべきことだと思います。
住宅商品は、(お客様との信頼関係を築くための)仕組み作りの一つにしかすぎません。

モデルハウス内にある色々な建物の種類が載ったプレゼン掲示板