一覧に戻る

中小工務店に優秀な社員はいらない(パート2)

…パート1からの続き

 

ある時、A君が担当しているお客様の家の工事中に、職人が現場の隣にあったご実家の梅の木を折ってしまいました。

私も含め関係者全員でお詫びに行き、業者との会議を開き、再発防止についてお施主様に報告をしました。

 

不思議なものでミスを起こしてしまった現場では、繰り返してミスが起こってしまいます。

しかも、立て続けにどんどんと・・・

 

「台風時に養生が悪く、夜中に変な金属音がずっと聞こえてしまい、近隣から苦情がきたり」

「作業後に電気を消し忘れ、明かりがつきっぱなしだったり」

「外壁サイディングに傷をつけてしまったり、隣の実家の瓦を割ってしまったり、」

「断熱の入れる場所を間違っていたり。」

 

普段は起こさなかったこうしたミスが、度重なりその現場で起こってしまいました。

 

A君はお施主様からの苦情の窓口として、どんな時も一番でかけつけて対応をしていましたが、ついにキレてしまったA君。現場の責任者である上司や私に対して、

 

「あんた、それでも現場責任者か!!」

「所長やのに、何しとんのや!」と罵倒をするようになりました。

 

もちろん、彼の言い方の悪さについては注意をしましたが、彼の言っていることや気持ちも理解できだけに、彼を黙らすだけの強い口調には誰もなれませんでした。

 

こうした言動や態度を黙認してしまうと、人はどんどん増長していきます。

 

そして、会社でやっていることでおかしいと思う事は、どんどん発言していくようになりました。

たとえば、毎月、第一月曜日に社員全員で朝礼を行うのですが、現場の人は朝が早いために、現場の人に時間を合わせて全員が出社しました。いつもより早く来なければいけなかったA君は、

 

「日曜日は自分は夜遅くまでお客様と打ち合わせをしているのに、なぜ月曜日に普段より朝早くこなければならないのか?これじゃ、朝寝不足で事故ってしまいます。時間を変えてください。」

そこで、会社は月の終わりの金曜日の夕方からに変更しました。

 

すると「金曜日は、週末のお客様と打ち合わせの準備があるので忙しい。なんで、そんな忙しい時にしたのですか?」などと言い出します。

 

情けない話ですが、もうA君に振り回されっぱなしになってしまいました。

 

こんな風になってしまうと、上司部下という関係、そして会社に雇われているという関係さえも危うくなってきます。最終的に

 

・・・彼が言った言葉は、

 

「この会社には未来がありません。だからやめさせてもらいます。」

 

でした。ついには、会社に見切りをつけて辞めていきました。

 

私がもっと指導力があり、ちゃんと彼を導いてあげればよかったのですが、その能力が私にはありませんでした。

大きな会社では、組織の一人として各自が役割を徹底していればいいのですが、私どものような中小工務店では、自分の役割をまっとうするよりも、会社にうまく協力して、みんなで一緒にまわしていくような、流れを重視しがちです。

 

仕事ができる人間を雇うには、上司の指導能力と組織力が必要ということを実感してしまった一例です。

 

一覧に戻る